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大阪・枚方で蔦屋書店率いるCCCがGOEN LOUNGE & STAY HIRAKATAをはじめた理由とは?

大阪と京都の中間地点・枚方市駅前、2016年11月GOEN LOUNGE & STAY HIRAKATAがオープンしました

京阪電車・枚方市(ひらかたし)駅前。
ここにTSUTAYA率いるCCCがどーんとビルまるごと蔦屋百貨店!のようなショッピングモールT-SITE HIRAKATAを開業したのが2016年5月16日。そこから遅れること約半年、T-SITEの隣のANNEXビルにCCC初の宿泊施設が誕生しました。名前はGOEN LOUNGE & STAY(ゴエン ラウンジアンドステイ)。

個室もありますが、基本はドミトリー(相部屋)がメインの、ホステルタイプの宿です。

本やCD/DVDからスタートし、最近は、蔦屋書店を軸にした家電やスタイリッシュなモノ・コトを集めたT-SITEを展開するCCC(カルチャーコンビニエンスクラブ)。この大企業が次に展開するのがホテルではなく、ホステルだったというのが少し驚きでもあります。

既に開業中ではありますが、機会があって中をじっくり見学、案内していただく機会を得ましたのでご紹介します。

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ビル入口からエレベータで5階に上がるとそこは別世界。広いラウンジがあるチェックインカウンターが旅人を出迎えてくれます。

GOENがある枚方は、京都・大阪・神戸など関西エリアのどこにいくにも便利な場所。大きなブラックボードの手書き地図とガイド本などが印象的なエントランスです。

チェックインラウンジ photo by GOEN LOUNGE & STAY HIRAKATA
チェックインラウンジ photo by GOEN LOUNGE & STAY HIRAKATA
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ドミトリー中心に個室が数部屋。広めのラウンジが心地いい。

ラウンジの真ん中には大きなテーブルがあり、それを囲むようにして、キッチンやネットに繋げるMac、外国人にも人気があるという漫画本、バルミューダのトースター(!)なども置かれています。大きな皮のソファもあり、夜はここでのんびりする人がたくさんいそう。

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宿泊するお部屋の種類は、個室が数部屋と女性専用ドミトリー&男女混合ドミトリーとなっています。いずれもシンプルシックで素敵なインテリア。

CCCでゲストハウス事業をやると決まってから、マネージャー自らでいろいろな宿を泊まり歩かれ、その中で「これはいい」というところを参考に、「ここは、こうしたほうがいい」など、細かいところまでチェックしたそうです。

例えば土足でどこまで入るか?という問題。家のようなタイプのゲストハウスなら最初に靴を脱ぎますが、ビルタイプの宿は結構その施設によって対応はまちまち。こちらはお部屋まで靴を履いたままでOKですが、靴を抜いで過ごしたいという方のために履き心地のよいスリッパを用意しました。そのスリッパもどういうものがいいか?かなり検討したのこと。確かにカッコいい&履きやすそうです!

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ドミトリーのベッドの中は、カーテンを閉めると半個室状態になりますが、場所によっては窓があって、窓側のカーテンを開けると光が差し込むようになっているベッドもあります。ドミトリーは構造上、光を遮り薄暗くなっているところも多いので、朝、ベッドまで光が差し込むのは個人的にはうれしいですね。

また、マットの高さをつけて、スペースの中に段差を設けることにしたのもこだわりだとか。ベッドマットの場所以外にちょっとした空間があると、そこに小さな荷物なども置けるので便利です。

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ベッドスペースの中は、読書灯と電源が2つついています。最近は、旅の途中で一番困るのが「充電」問題だったりするので、最初から2つあるのは助かります。(個人的には、いつもカメラとスマホの充電を同時にしたいので3つ口タップを持ち歩いていたります)

また、ノートパソコンなどの貴重品を入れられるロッカーもあり、必要ならばそこに自前のロックなどをつけられるようにもなっています。ベッドスペースの上部にこうした小さな置き場があるのも便利。寝る前にコンタクトレンズやメガネや、スマホやアクセサリー・・・その他もろもろ以外と1泊でもベッド周りは乱雑になりやすいので。

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ラウンジの1つ上の階にも小さなくつろぎスペースがあります。
棚の上に置かれている本は、お隣T-SITE・蔦屋書店のブックコンシェルジュの方が選んだスタイリッシュな書籍たち。数は多くないものの自分ではなかなか買えないような希少なものもあり、さすがのセレクト。

個室はダブルタイプから二段ベッドでの複数人対応まで数種類。

最近、ゲストハウスでもドミトリーではなく個室需要も増えているそうです。

特に海外から来られたグループ旅行や家族旅行の方は、4人用の個室を利用すれば、他の旅行者の方に気兼ねすることなく、また代金も割り勘でうまくするとドミトリーに宿泊するより安くなることもありますから重宝するのは当然ですね。

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こちらは個室その1。トリプル利用可能なダブルルーム。窓の外にはT-SITEのビルが見えます。ソファがベッドにもなる仕様のシンプルベストなお部屋。

ベッドはさほど大きくなく、2人寝るのはラブラブカップルじゃなければちょいと厳しめな大きさかも。一人で寝るなら最高。同性の友人と2人で一人がベッド、一人がソファをベッドにして寝るというのが一番快適な使い方かもしれません。あとは子連れの家族にもよさそうですね。

ライティングデスクと椅子がかわいい。こちらのお部屋は、シャワーや洗面・トイレは外の共用のものを使用するタイプ。個人的には日本国中このくらいの広さと快適さがあるお部屋が8,000円以下くらいでもっとたくさん存在してくれるとうれしい。若くない人は旅が続くとドミトリーばかりじゃ厳しいときもあるのです。ビジネスホテルじゃ味気ないですしね。

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こちらは部屋の中にバス・トイレがついているお部屋。ホテルでは当たり前のその設備が、ゲストハウスにそういう部屋があると聞くと「えっすごい!豪華!」と思ってしまうのはどうしてなのでしょうか。

あと、細かいところだと壁がビニール壁紙じゃなくて漆喰風の塗り壁なのも今っぽい。フローリングのような茶色い床も落ち着きますね。

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こちらが4人部屋。グループだと一番使い勝手がよさそう。
今は海外からのお客様以外にも、会社の出張で数人宿泊するからといった人などの利用もあるそうです。ホテルのシングル4部屋よりもなんだか仲がよくなりそうですし、軽いミーティングもできるからいいですね。

なんと貸切露天風呂がまで完備!空が見えます。

GOENにあるのは客室とラウンジだけではありません。なんと空が見える屋上露天風呂までつくっちゃいました!

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貸し切り対応なので、夕方〜夜まで数組しか入れない激戦。温泉ではないけれど、樽型の浴槽はなんとも気持ちよさそう。毎回お湯も30分かけて入れ替えているそうで、清潔!だけどスタッフの方は大変でしょうね〜。ご苦労様です!

露天風呂途中の通路には、金魚鉢があり、ちゃんと金魚も飼われていました。きっとバイトのタスクのなかに「金魚のエサやり」担当があるにちがいない(笑)。

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洗面・シャワーなども数も多くピカピカで使いやすそう。

シャワーがある廊下のラックには新しいバスマットが置かれて自由に使えるようになっています。ストアマネージャーの北田さんによると、これはスタッフのひとりが「誰かが使った濡れたバスマットが心地よくない」と意見を言ったことから導入が決まったのだそうです。小規模なゲストハウスだとスタッフがこまめにチェックもできますが、こうした大型施設だとピーク時にそういう細かなメンテはできないので、こうした細かい仕組みを構築するのは大事ですね。

TSUTAYAが初めての宿泊施設にホステルタイプを選んだ理由とは?

GOENはCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)の宿泊新事業として位置づけられています。その新規事業を統括するCCCデザインカンパニー部長兼GOENマネージャー奥田康弘さんにもお話を聞くことができました。

GOENのコンセプトは「結ぶ」。地元と外国、旅人同士などのご縁を結び、円となって繋がっていくという意味が込められています。2016年4月に宿泊事業を行うことが決まり、奥田さんやストアマネージャー北田さん達自らが全国いろいろなホステルを泊まり歩いて研究したそうです。その中で、「ここにこれがあったほうがいい」という宿泊した人でしかわからない細かい使い心地の差にも気づいていかれたそう。

けれど、どうしてホテルではなくホステルを事業として選ばれたのでしょうか?そこにはCCCのコンセプトや理念と密接な関係がありました。

en  ご縁=円をモチーフにしたロゴ看板
en ご縁=円をモチーフにしたロゴ看板

奥田さん
TSUTAYAを運営するCCCの正式な社名はカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社といいますが、僕たちは電気や水道、住居といった生活するためのインフラをつくっているわけではありません。書籍や映画などのアートなどの文化(=カルチャー)を便利にしていく事業を行っています。生活必需品ではなく、生活に「彩り」をつくるものとして必要なものたちをより便利にしていく文化のインフラをつくっていこうとしています。

今は、ネットでなんでも買える時代ですから、店舗に来ていただくためには、もっと違うものを提供しなくてはいけない。蔦屋書店や二子玉川で展開している蔦屋家電などでは、「売り場」を作るのではなく、居心地よい空間、買い場をつくるという業態のリノベーションを行っていると思っています。

誰にとっても居心地よい空間というのは「家」です。蔦屋書店でもPOPは最小限にしたり、家の照度に合わせて少し暗めの空間にしてコーヒーが飲めるショップがあって、と、落ち着けるような雰囲気を出すようにしています。

その考えで宿泊事業を考えると、「宿」ではなく「家」をつくる。文化をつくるには、より家に近いホステルがよい、となるのは自然なことでした。

これからのGOEN出店計画はすでにあるのでしょうか?

–これからGOENが全国に増えていくのでしょうか?

奥田さん
今はまだここがオープンして1ヶ月にもならない状態ですので、具体的な次の計画というのはありません。会社としても新しい事業ですので、ここでまずはソフトオープンして、お客さまの反応をみながら運営を行っている状態です。ただ、ここ1店舗のみということではなく、例えばT−SITEがあるところにはGOENがある、という風になりたいですね。次は観光地と呼ばれる場所に出店できればとは考えています。

GOEN LOUNGE & STAY HIRAKATA 左ストアマネージャー北田大樹さん 右事業マネージャー奥田康弘さん
GOEN LOUNGE & STAY HIRAKATA 左ストアマネージャー北田大樹さん 右事業マネージャー奥田康弘さん

大企業ならではの設備投資。本当のご縁がスタートするのはこれから!

駅前にあってラウンジも広く、空調や水回り、ベッド周りも完璧!なGOEN LOUNGE & STAY。露天風呂などのあってうれしい遊び心がある施設もあり、キッチンには高級トースターバルミューダが置かれ、廊下やお部屋には空気清浄機まで配置。スタッフはキビキビと働いていて、マネージャー自らも現場で手を動かしている。カフェなどの飲食施設はないものの、隣がT-SITEだし、宿泊に特化する設備と考えると、本当によく出来ています。ここまで投資できるのは、やはり大企業ならではの強みでしょう。

枚方という大きな観光地に挟まれて便利ではあるものの、知名度が低い場所にあるためか、今は外国人旅行者よりも、楽天トラベルなどでご予約される日本人の比率のほうが多いそう。

2015年あたりから、全国にゲストハウス・ホステルと呼ばれる施設が増え、Airbnbを筆頭にした民泊という言葉もニュースに出てくるようになりました。けれど、まだまだこうした交流も出来るゲストハウスの存在は一部の人にしか知られていないと感じています。

もっとゲストハウスが得意としている「ご縁のつながり」「違う文化と触れる」カルチャーをいろんな人が知って、体験してもらいたい。ゲストハウスプレスではそういう想いで運営しています。

将来的に、GOENが全国展開して拡がっていけば、もっと多くの日本人が気軽に利用するようになって、そうした文化が少しずつ拡がって根付いていく、裾野が拡がっていく起爆剤のような存在になりうると感じました。そうするとカフェにスタバのような統一感のあるチェーン店と、個性的なオーナーが運営する小さな店舗が共存するように、裾野が広がることでうまく共存し、よりいいムーブメントになりうる。

GOEN LOUNGE & STAYがホステル界のスターバックスコーヒーのように、地方都市にも普通にあって、いい雰囲気で泊まれる世界観をつくりあげる日が来るのはそう遠くないのかもしれません。

GOEN LOUNGE & STAY HIRAKATA公式サイト

GOENは枚方T-SITEの裏手ANNEXビルにある付帯施設的な位置づけ。
GOENは枚方T-SITEの裏手ANNEXビルにある付帯施設的な位置づけ。
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西村祐子 / ゲストハウスプレス編集長  : 「好きなことをして生きる」を実践するべく活動するライフクリエイター。2017年より神奈川の海辺から大阪にUターン。現在はあたらしい旅と暮らしの発信基地Wanderers!の運営をはじめ、 旅にまつわるさまざまな事業プロデュースを行っている。http://moanablue.com/life