山ノ家カフェ&ドミトリー周辺の魅力的な場所をご紹介します
新潟県・十日町市松代(まつだい)にある山ノ家カフェ&ドミトリー。周辺はなーんにもないように見えて、棚田の多い山村集落と、隔年で行われる越後妻有(えちごつまり)大地の芸術祭関連のアート施設が、他にはない不思議な魅力を醸し出しています。平均積雪量が4mを超えるというこの地域。冬の白い世界を体験しに訪れるのもよいかもしれません。
1.美人林を歩く。
美人林。なんともまたすごく直球な名前のこの林は、山ノ家カフェ&ドミトリーから車で10分位のところにあります。 山ノ家の池田さんも「いいよー」とおすすめされていたこの場所の正体は、松之山という集落の約3ヘクタールわたるブナ林。豪雪地帯なのに、幹が真っすぐなのはとても珍しいようで、いつしか美人林と名付けられたそう。
エリアはそう大きくないのですが、日本の繊細な広葉樹林の美しさが詰まっています。わたしが訪問した日は雨が降っていて、それがまた、しっとりとした美しさを携えていました。木の根っこあたりを見てみると、かわいらしいキノコが生えていたりしているので、地面や木々をよーく見てみるとより楽しめるかも。
パワースポット、と言う言い方はもう使い古されたようになってしまいましたが、確かにここでは、ある種の清らかさ、浄化する力を感じました。隣接する十日町市立里山科学館越後松之山「森の学校」キョロロも、外観と内部のゆる〜い雰囲気のがギャップも含めてなかなか面白いです。展望台の階段を上り下りするのも、不思議な世界を体感できるのでおすすめ。
このエリアには日本三大薬湯の松之山温泉もあります。周辺の美しい棚田の風景も素晴らしいけれど、バスなどの直通公共交通機関は残念ながらないようなので、車以外の交通手段で訪れるにはちょっと厳しいのが難点でしょうか。まつだい駅から松之山エリアをガイドしながら巡る乗り合いタクシー里山の達人タクシーなどは使えそうです。
2.絵本と木の実の美術館を訪ねる。
全国の田舎、と呼ばれる中でも、より山間の集落などでは、ほんとうに、ものすごく多くの場所で、その土地の中心地だっただろう小中学校が廃校になって、その校舎をどう使うか?どう残すか?という問題が起こっています。
ここ、絵本と木の実の美術館も、そんな廃校になった真田小学校を、いかに素敵に残すか?ということに、現代アートという視点で取り組んだ施設。「学校はカラッポにならない」というテーマで作られた体験型空間絵本美術館です。体験型現代アートについては、私はまったく門外漢で、何かを論じたり評したりすることは出来ませんが、この地域で15年来行われているという越後妻有・大地の芸術祭で、国内外、有名無名入り混じったアーティストや芸術家と呼ばれる人たちが、この地域の人たちをいかに巻き込んで、いかに共に育んできたか?その一端がここで見られるような気がしました。
鉢というここの集落名からとったHachi cafeは、元校長室と職員室だったところ。地元のお米(ここは魚沼産コシヒカリの産地!)と、スペインの郷土料理「アロス」が食べられます。そんな不思議なオバケの学校、用務員室のような場所を改造したミュージアムショップの白い空間や、地元のボランティアさんの愛いっぱいの案内もあわせて、ゆっくり時間をとって、バスの時間もちゃんと調べて、ぜひ来てもらいたいところです。(こちら豪雪地帯のため春〜秋のみの開館、冬期は休館するのでご注意を!)。
3.大地の芸術祭 ・越後妻有アートトリエンナーレ展示作品を見てまわる。
新潟県十日町市・津南市を中心とした越後妻有(えちごつまり)と呼ばれる地域は、10年以上前から3年に1度の国際芸術祭「大地の芸術祭」を開催しているエリアで、大地の芸術祭の里と呼ばれています。 大地の芸術祭は、「人間は自然に内包される」という基本理念に基づき、広大な里山を舞台に、国内外のアーティストが作品を制作・展示するアートフェスティバル。直近は昨年、2015年の夏に開催されました。
2000年にスタートしたこの芸術祭、作品が屋外、しかも田んぼの真ん中だったり、実際の家屋を利用してアート作品として展示されていたりすることもあり、会期が終わった後もそのまま残されているものも数多くあります。そんな屋外アートの数々を見る、という名目で、普段行く機会のない、観光地でもなんでもない小さな集落に入りこんでいくことができるのが、こうしたアート作品展示のよいところです。
展示作品は、かなり広い地域に点在しているので、見学するとなると車での移動が基本となりますが、山ノ家があるほくほく線まつだい駅から徒歩圏内のまつだい「農舞台」や、芸術祭でもメイン会場のひとつ、越後妻有里山現代美術館[キナーレ]はJR十日町駅徒歩10分のところ。こうした施設の企画展も、毎回非常におもしろいので、普段あまり美術館などに行く機会のない方もぜひ一度先入観なしで見に行かれると、「現代アートはなんでもあり!」ということが体感できることでしょう。